日本で教育を受けた方なら誰でも
古典の授業で『論語』に触れたことがあるでしょう。
『論語』の成立は紀元前2世紀、孔子の死後に弟子達が編纂したのが今の『論語』です。
2000年以上前の書物である『論語』に対して、「古臭い、難しい、説教じみている」といったイメージを持つ方も多いと思います。
『論語』の内容を改めて説明はしませんが、その内容は大まかに捉えて人間観察の書物だと言えるでしょう。2000年以上前に書かれた人間の生き方の教えや、人生の悩みが現代でも読み継がれている事実は驚異的の一言につきます。

人間の悩みは紀元前から更新されない
『論語』は10巻20篇で構成され、500以上の言説が収録されています。
故きを温めて新しきを知る
(巻第一為政第二ー二)
過ぎたるは猶お及ばざるが如し
(巻第六先進第十一ー六)
上記の言葉なら古典の授業などで一度は聞いたことがあると思います。
『論語』は全編にわたり簡潔な文言で孔子の教えが語られています。
もちろん、孔子本人が弟子達にこのまま語っていた訳ではなく、弟子達によって『論語』が編纂されていく過程で余分な言葉は削ぎ落とされ研ぎ澄まされていった結果です。
孔子自身も政治家であり『論語』も政治の色が強く浮き出ますが
全体を支えるテーマとして『人はどう生きるべきか。』というものがあると考えます。
政治に限らず、他人との接し方や生活の立ち振る舞いをいかにするか。
どうすれば大人物になり、良い人生を送れるのかが記されています。
キリスト教が誕生するよりも遥か昔に作られた『人生の教科書』が現在でも読み続けられているのは、『論語』の教えが時代に左右されない人類の普遍的な部分をついているからでしょう。
『論語』は最低限の教養だった
唐の時代の詩人杜甫(とほ)は四川の貧しい田舎町の生活を見て
『小児の学問はただ論語のみ、大児は結束して商旅に出る』と歌っています。
「小児の学問はただ論語のみ」は村の子供達が学ぶものは『論語』しか無いと教養の低さを嘆いたものだそうです。
しかし、これは貧しい田舎町の子供達であっても『論語』は読んでいたという証でもあります。
また、日本でも寺子屋が多く開かれた江戸時代でも『論語』で孔子の教えを知って関連書物を読むのが学問の王道だったようです。
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よく巷で見かけるビジネス書やハウツー本には必ず元ネタがあります。
元ネタの元ネタを次々に辿っていくと必ず古典に行き着きます。
最新のビジネス書やハウツー本で得られる知識はすでに紀元前の賢人達が書物に残していたものかもしれません。